Petillant
優河
pétillant はフランス語で「微発泡の」。ワインの、泡が少しだけ立っている状態を指す語です。4枚目のアルバム『Love Deluxe』の3曲目で、リード曲。
「なんで静かな曲ばかり歌ってるんだろう」
優河は1992年生まれ、東京の人。2011年から歌っています。2015年の『TABIJI』はゴンドウトモヒコがプロデュース、2018年の『魔法』からは"魔法バンド"と一緒に作るようになった。2022年の『言葉のない夜に』には、ドラマ『妻、小学生になる。』の主題歌「灯火」が入っています。
その人が、4枚目でかなりはっきり方向を変えました。インタビューでこう言っています。
私ってもともとそんなに静かな人間でもないのに、なんで静かな曲ばかり歌ってるんだろう?
そこから出てきたのが「ビートが効いて少し踊れるような」という方針でした。フォークロック寄りだった音が、クラブやダンスミュージック、ヒップホップのビート感覚のほうへ寄っていく。
きっかけになったのは前年のシングル「遠い朝」だと本人が説明しています。ヒップホップ的なビートの上で、自分なりの温度感を保ったまま歌う。その形が見つかった。
「根暗も踊れるダンスアルバム」
このアルバムを本人が言い表した一言がこれです。
根暗も踊れるダンスアルバム
この「根暗も」の部分が、たぶんこの一枚のいちばん大事なところです。 想定されているのはフロアではなく、静かな環境で、ひとりで聴いて身体を揺らす人のほう。人前で踊れない側の人間に向けて、それでも踊れる音を作っている。
もうひとつ、アルバム全体に通っている主題は「自分を愛すること」。本人の言葉ではこうなります。
愛を自家発電しておかなくちゃ、と思えるようになった
電気が来ていない場所で、自分で回す。ダンスミュージックの文脈でこの言い方が出てくるのは珍しい気がします。踊る場所は普通、人が集まっているところなので。
魔法バンドと岡田拓郎
全篇のプロデュースは岡田拓郎。演奏は魔法バンドで、岡田拓郎(ギター)、千葉広樹(ベース)、谷口雄(キーボード)、神谷洵平(ドラム)。
作り方も変わっています。収録曲の半数は、まず岡田がトラックを作り、そこにバンドで肉付けしていく。 生演奏を先に録ってから整えるのではなく、打ち込みが先にあって、演奏があとから乗る。ダンスミュージックの側の手順です。
「Petillant」の作詞は優河、作曲は優河と岡田拓郎の連名になっています。
長く一緒にやっているバンドについて、本人は、関係ができているから構えずに普段の自分を出せる、という趣旨のことを話しています。方向を変えたアルバムなのに、変えていない部分がここにあります。
こんな時、聴きたいかも(個人的にね)
人前では試していません。というより、試す気になりませんでした。「根暗も踊れる」と言われたものを、人前で踊る用途に回すのは、なんだか筋が違う気がして。
ひとりの部屋で、座ったまま膝から上だけ。それでちょうど足ります。
出典
- SENSA — なぜ優河は今「根暗も踊れるダンスアルバム」を作り上げたのか?その道筋を解き明かす『Love Deluxe』インタビュー(「根暗も踊れるダンスアルバム」の意味・「愛を自家発電しておかなくちゃ」・岡田拓郎と魔法バンドについての発言)
- Mikiki — 優河『Love Deluxe』は根暗も踊れるダンスアルバム? 〈陽〉な面と共生を歌った、岡田拓郎プロデュース作を語る(「なんで静かな曲ばかり歌ってるんだろう?」という発言・「ビートが効いて少し踊れるような」という方針・魔法バンドの編成・収録曲の半数を岡田がトラックから作ったこと・「遠い朝」が転機だったこと)
- 優河 official web site — Love Deluxe(2024年9月4日リリース・全10曲と「Petillant」が3曲目であること)
- Wikipedia — 優河(1992年生まれ・東京出身・2011年からの活動・『TABIJI』とゴンドウトモヒコ・『魔法』と魔法バンド・『言葉のない夜に』と「灯火」)
- 出自
- 東京
- 収録
- Love Deluxe
- 発表
- 2024年9月4日
- 出典
- https://youtu.be/eSlqTvhxJzE