Teardrop (Like A Version)
AURORA
制作triple j
原曲は、羊膜のなかの胎児が口を動かして歌う映像で知られています。あれを、朝のラジオのスタジオで、20歳のノルウェー人がやり直したのがこの一本。
元の曲の話から
Massive Attack「Teardrop」は1998年4月27日、Circa と Virgin から。アルバム『Mezzanine』の第2弾シングルです。
歌っているのはバンドの誰でもありません。スコットランドのエリザベス・フレイザー——コクトー・ツインズのシンガーだった人で、この曲では歌詞まで彼女が書いています。作曲クレジットはロバート・デル・ナジャ、フレイザー、グラントリー・マーシャル、アンドリュー・ヴォウルズの4人。
イギリスで10位、アイスランドでは1位。デンマーク、アイルランド、ニュージーランドでもトップ20に入っています。MVはウォルター・スターン監督。冒頭に書いた、あの胎児の映像です。アメリカのドラマ『House』のオープニングに使われて、原曲を知らないまま旋律だけ覚えている人も相当な数いるはずです。
Like A Version という枠
triple j はオーストラリアの、若者向けの公共ラジオ局。「Like A Version」はそこの生演奏コーナーで、2004年に Mel Bampton が立ち上げました。毎週金曜の朝8時ごろ。
ルールは単純で、出演者はスタジオで2曲だけやる。自分の持ち曲を1曲、そしてカバーを1曲。始まった頃はアコースティック中心の小さな演奏でしたが、後にバンドまるごと入るスタジオへ移っています。2005年からは ABC Music が毎年コンピレーション盤を出していて、ここでの1回が独立した記録として残る仕組みになっている。
AURORA の出演は2017年1月27日。この音源は同年10月6日の『triple j: Like A Version 13』に収められました。
20歳が触ったときに何が起きるか
AURORA はオーロラ・アクスネス、1996年6月15日生まれ。スタヴァンゲル生まれのベルゲン育ちで、2014年に Petroleum、Decca、Glassnote と契約しています。この放送の前年、2016年3月にファースト・アルバム『All My Demons Greeting Me as a Friend』を出して、ノルウェーのチャートで2週連続1位。エレクトロニックとフォークを混ぜた暗いポップ、という説明のされ方をする人です。
原曲の「Teardrop」は、あの独特のドラムのループが曲の重心を握っています。持ち込める機材が限られるラジオのスタジオでは、そこをそのまま持ってくるわけにいかない。この企画に出るというのは、曲の重心を別のところに置き直すことです。
フレイザーの歌は、上のほうから降ってくるような歌でした。この放送で聞こえてくるのは、もっと地面に近いところから始まる声です。同じ旋律でも、出どころの高さが違うと別の曲になる。
母胎の曲を、装飾を外して歌う。
原曲を上回っているという話ではありません。あの曲があの映像なしで成立するのかを、朝のラジオで一度確かめた記録として面白いということです。
こんな時、聴きたいかも(個人的にね)
寝る前に流したのは失敗でした。この歌い方は、思ったより起きている側の音です。
雨の日の午後に、窓を開けたまま。誰とも話さないと決めてからの、はじめの一曲に。
出典
- Wikipedia — Teardrop (song)(原曲のリリース日・レーベル・エリザベス・フレイザーの参加と作詞・作曲クレジット・MV監督と内容・チャート成績・『House』での使用)
- Wikipedia — Like a Version(2004年開始・Mel Bampton・毎週金曜・オリジナル1曲+カバー1曲の形式・ABC Music のコンピレーション)
- Wikipedia — Aurora (singer)(本名・生年月日・出身・契約レーベル・2016年のファースト・アルバムと成績・音楽性)
- Aurora Aksnes Wiki — Teardrop(2017年1月27日の放送日・『Like A Version 13』への収録)
- 出自
- ノルウェー・スタヴァンゲル生まれ/ベルゲン育ち
- レーベル
- Decca / Glassnote
- 収録
- triple j: Like A Version 13
- 発表
- 2017年1月27日(放送)
- 出典
- https://youtu.be/GPTY6l_PX5k