Veilleuse 音楽の常夜灯

Wildfires

SAULT

3分26秒。20曲入りのアルバムの5曲目です。歌っているのは Cleo Sol、書いたのは Inflo と Cleo Sol、プロデュースは Inflo。分かっているのはそこまでで、この集団については、それ以上のことが分かるようにできていません。

顔を出さない集団

SAULT はイギリスのグループです。ジャケットに顔が出ない。インタビューを受けない。ライブもほとんどやらない。

分かっているのは、Kadeem Clarke、Inflo、Cleo Sol、Melisa "Kid Sister" Young という名前が関わっているということ。Inflo はプロデューサーで、Cleo Sol は歌う人。この『Untitled (Black Is)』では Michael Kiwanuka も何曲かで声を入れています。

匿名でいることを、話題づくりとして使っている人たちだとは思いません。この一枚を聴いていると、中心に立つ個人がいないほうが都合のいい種類の話をしている、という感じがしてくる。誰かの体験談として受け取られると、届く範囲が狭くなる。

これは自分の読み方で、本人たちが説明したことではありません。

出た日

アルバムが出たのは2020年6月19日です。

5月25日にジョージ・フロイドが殺されてから25日後で、抗議が世界中に広がっている最中でした。6月19日はアメリカで Juneteenth と呼ばれる日でもある。1865年のこの日、奴隷解放の知らせが最後の地域にようやく届いた、として記憶されている日付です。

リリース時の声明では、警察の暴力と構造的な人種差別の犠牲になった人たちに敬意を表す、と述べられています。

「Wildfires」の歌詞は、その暴力に対して、怯まずに立っていることについて歌っています。The Guardian は2020年のベストソングの5位にこの曲を、ベストアルバムの5位にこの一枚を置きました。

無料で出して、売上を渡した

もうひとつ、リリースのされ方の話。この一枚は最初、無料のデジタルダウンロードとして出されました。 そのあと発生した売上は慈善団体に寄付されています。

顔を出さず、名前を売らず、金も受け取らない。3つ揃うと、残るのは音だけになります。

こんな時、聴きたいかも(個人的にね)

正直に書くと、この曲に合う時間帯を見つけられませんでした。

朝に流すと、その日の始まり方としては重すぎる。夜に流すと、眠るまでのあいだに置き場所がない。作業中は言うまでもなく無理でした。3分26秒しかないのに、前後にあった予定の空気を全部変えてしまう。

結局、一日の終わりに一曲だけ流して、そのあと何もかけない、というのが唯一うまくいった形でした。次の曲を用意しないで聴く。 そういう置き方をする曲もあると思います。

出典

出自
イギリス
レーベル
Forever Living Originals
収録
Untitled (Black Is)
発表
2020年6月19日
出典
https://youtu.be/GRC4Ac6IB1w

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