Veilleuse 音楽の常夜灯

tenk(e)i feat. 長谷川白紙

パソコン音楽クラブ

監督鈴木健太

7年ぶりの再タッグです。パソコン音楽クラブと長谷川白紙。前回は2019年の「hikari」で、あちらは両者の代表曲として残りました。

題の括弧

まず題です。tenk(e)i

括弧を外せば tenki(天気)、括弧の中を読めば tenkei。天啓か、典型か、転形か、点景か。ローマ字にしたときだけ発生する多義性を、括弧一つで固定せずに置いている。

日本語を漢字で書けば意味は一つに決まります。かなで書けばぼやける。ローマ字にして括弧を挟むと、複数の語が同時に立ち上がったまま止まる。表記の操作だけで、意味を決めないという状態を作っている。

長谷川白紙を迎える曲の題として、これは筋が通っていると思います。この人の歌は、言葉の輪郭を保ったまま音の側へ寄せていくところに特徴がある人です。

ハウスともテクノとも言い切れない

楽曲については、こう説明されています。軽やかでありながら、どこかエモーショナル。ハウスともテクノとも言い切れないサウンドとメロディを、長谷川白紙ならではの感覚で乗りこなした、と。

「言い切れない」というのは、批評の側の逃げ口上にもなり得る言い方です。ただこの2組の組み合わせに関しては、そのまま事実の記述として読めます。パソコン音楽クラブはもともと、90年代の機材の音を現在の構成で鳴らしてきたユニットで、ジャンル名より音源の年代のほうが手触りを決める作りをしてきた。そこに、拍の取り方が独特な歌が乗る。

結果として、既存のジャンル名では説明の効率が落ちる。互いの成長と持ち味が自然に重なった、と紹介されているのは、7年ぶんの距離が両者にあったということでもあります。

MV は翌日、2026年1月15日21時に YouTube でプレミア公開されました。監督は鈴木健太

10年目の1月

この曲が出た時期の意味も添えておきます。

2026年は、パソコン音楽クラブの結成10周年イヤーです。この配信の10日後、2026年1月24日に Zepp Shinjuku でキャリア最大規模のワンマンライブが組まれていました。同じ日の23時からは ZEROTOKYO で「PMC 10th Anniversary Grand Party "SHIFT+ALT"」。

10周年の月に、7年前の代表曲の相手をもう一度呼んで新曲を出す。節目に過去を持ってくるやり方はよくありますが、再演ではなく新曲にしている。「hikari」をやり直すのではなく、同じ相手と別の曲を作る。この選び方に、10年続けた側の判断が出ている気がします。

パーティの名前が "SHIFT+ALT" であるのも、この人たちらしい。押しても何も起きない、修飾キーだけの組み合わせです。

こんな時、聴きたいかも(個人的にね)

上着を脱ぐ前に手が伸びる曲でした。軽いので、部屋の空気を切り替えるのに向いています。

腰を据えて歌詞を追うと、また別の顔が出てきます。どちらの聴き方も成立する。自分は前者が多くなりましたが、それはたぶん帰る時間の問題です。

出典

収録
tenk(e)i feat. 長谷川白紙
発表
2026年1月14日
出典
https://youtu.be/lEKNI51aw9g

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