Veilleuse 音楽の常夜灯

Twisting & Glistening

Cornelius

「屈折」と題されたアルバムから、先に一曲だけ届いています。Cornelius の新作『REFRACTIONS』は2026年8月19日発売、その前に配信で出たのがこれ。

出発点は1985年らしい

本人の説明がはっきりしていて助かります。1985年ごろの電子ダンスミュージックを出発点にして、そこにジャズ由来のテンション・コードを重ねた、と言っている。

この2つは普通なら混ざりません。1985年のダンスミュージックは、機材の都合で和音が単純にならざるを得なかった時期の音です。そこへ、緊張を持たせるための複雑な和音を後から積む。年代の違う判断を無理に同居させているのが、この曲の骨組みです。

ファンクのトラックだと紹介されていて、EDM的なビート、シンセ、アコースティックとエレクトリックのギター、ピアノとエレピが入る。ボーカルは小山田圭吾本人。

タイトルが方法論になっている

アルバム題の REFRACTIONS は屈折。本人がテーマとして挙げているのは「鏡や反射、音、波のように、存在はするが固定的な形にならない、変化する知覚」。

言い方は抽象的ですが、やっていることは具体的です。同じものを角度を変えて通すと別のものに見える——それを曲の作り方そのものに持ち込んでいる。1985年の音を2026年の側から通す。単純な和音に複雑な和音を重ねる。どちらも「屈折」の実例になっている。

曲名の Twisting & Glistening も、ねじれと、きらめき。捻ることと光ることを同じ形で並べた題です。アルバム題と同じ話を、曲名の側でもう一度している。

アルバムは全10曲。日常の音を複雑なリズムの体系と映画的な音響に変える、というこれまでの手つきは続くようです。ゲストには「You Make me Cyborg」に Bid、「Aeons」に Sean Ono Lennon、「Bad Advice」に Arto Lindsay。

踊れる曲として作られているか

ダンサブルだと説明されています。ただ、テンション・コードを重ねた音は、体を単純に前へ運んでくれません。和音が解決しないので、次の一歩を置く場所が毎回わずかにずれる。

踊るために作られた音の上に、踊りにくくする要素をあとから乗せている。それを不親切と呼ぶこともできるし、聴くほうに椅子を用意していると読むこともできる。この人の曲は昔からそちら側です。

こんな時、聴きたいかも(個人的にね)

移動しないで聴くほうが向いている気がしました。部屋のなかで、同じ場所に座ったまま。歩きながらだと、和音のずれが足のほうに来てしまう。

音量は中くらいで足りました。大きくすると、重ねてある層が団子になる。うちのスピーカーで、という但し書きはつきますが。

出典

レーベル
ワーナーミュージック・ジャパン
収録
REFRACTIONS
発表
2026年7月8日(配信)
出典
https://youtu.be/gxSE5ONcNV4

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