No Rain, No Flowers
Ruby Wood
アルバムの題を訳すと「雨がなければ、花もない」。逆境を通って育つ話だと、本人側の説明がそのまま言っています。長く続いた愛、束の間の親密さ、喪失、そして人を形づくる関係について。
冠になっている1分50秒
1曲目がアルバムと同じ題で、1分50秒。これが構成の要だと思います。
- No Rain, No Flowers — 1分50秒
- This Thing Called Life ft Illa J & Abstract Orchestra — 4分16秒
- Someone ft Devin Tracy — 4分37秒
- Dominos — 4分16秒
- On My Mind — 2分56秒
- You Can Get It ft Abnormal Sleepz — 3分19秒
- Things Fall Apart — 3分20秒
- When I'm With You ft Prido — 3分50秒
題を冠した曲を短く置いて、そのあと本題に入る。序文としての1分50秒で、雨の話を先に済ませてから花のほうを並べていく順番です。
7曲目の「Things Fall Apart」は、物事が崩れるという題。8曲目が「When I'm With You」で閉じる。崩れる話のあとに、一緒にいるときの話を置いて終わる。逆境から育つ、という題の主張と構成が合っています。
誰と作っているか
主要なプロデューサーは Rob Mitchell、Abstract Orchestra の人です。ほかに El Train、Pitch 92、Paal Singh。レーベルは First Word Records。
Abstract Orchestra は2曲目に演奏でも入っていて、同じ曲に Illa J が乗っています。ゲストは Illa J、Devin Tracy、Abnormal Sleepz、PRIDO。
ここが構図としておもしろいところです。Ruby Wood はハダーズフィールドの人で、ウェストヨークシャーの、ロンドンでもマンチェスターでもない場所。その土地の生演奏の集団を主要プロデューサーに据えて、そこにアメリカ側のラップとソウルの人を呼んでいる。
タグは r&b/soul、contemporary r&b、jazz、neo-soul、soul、そして Huddersfield。地名がタグに入っているのは、その場所でやっていることを隠さないという意思表示だと受け取りました。
生演奏でソウルをやるということ
現代のR&Bやネオソウルは、打ち込みで組むほうが標準です。細かい質感を作りやすく、修正もきく。
この一枚は、オーケストラ名義の集団を軸にしています。生演奏でやると、歌のほうが合わせにいく必要が出る。逆に言えば、歌が動く余地は減ります。それを選んでいるのは、この題材が「整えた声」で語るものではないと判断したからではないか、と思いました。
8曲で28分ほど。長くしていません。喪失や別れを扱う作品は膨らみやすいところを、序文を1分50秒に切り、全体も30分以内で閉じている。
こんな時、聴きたいかも(個人的にね)
降っている最中は、少し重なりすぎました。雨の音とこの声は、周波数が近いのかもしれない。
合ったのは雨上がりです。地面がまだ濡れている時間帯に。題そのままの聴き方で恐縮ですが、実際それがいちばんでした。
出典
- Bandcamp — No Rain, No Flowers / Ruby Wood(2026年7月24日リリース・全8曲と収録時間・ハダーズフィールド拠点・「逆境を通した成長の個人的な物語」で長期的な愛や束の間の親密さ、喪失、人を形づくる関係を扱うという説明・Rob Mitchell(Abstract Orchestra)が主要プロデューサーであること・El Train、Pitch 92、Paal Singh のプロデュース・ゲスト参加者・First Word Records・タグ)
- 出自
- ハダーズフィールド(イングランド・ウェストヨークシャー)
- レーベル
- First Word Records
- 収録
- No Rain, No Flowers
- 発表
- 2026年7月24日
- 出典
- https://rubywood.bandcamp.com/album/no-rain-no-flowers