Veilleuse 音楽の常夜灯

Fleur-De-Lis

Jenevieve feat. Lous and The Yakuza

ロケ地ブリュッセル(ベルギー)

マイアミ出身のジェネヴィーヴと、ベルギーのラッパー/シンガー、ラウス・アンド・ザ・ヤクザ。この2人が並ぶと聞いた時点で、だいたいの予想はつきました。予想はついたけれど、実際に鳴っている音のほうが静かでした。

参照元にシティ・ポップを挙げる人

ジェネヴィーヴ・ジョンソン、1998年1月30日生まれ。マイアミ育ちで、キューバ系とバハマ系のルーツを持つ。2020年のシングル「Baby Powder」で一気に知られるようになった人です。

自分の音楽の参照元として、ジャネット・ジャクソンと並べて日本のシティ・ポップを挙げているのが、彼女を語るときに必ず出てくる話。実際、ドラムの詰め方やコードの置き方に、80年代の東京の匂いがはっきり残っています。R&Bとニュー・ディスコの間にいる、と説明されることが多い。

アルバムは『Division』(2021年)、『Crysalis』(2025年)。そして本作を含む『CRYSALIS (CODA)』が2026年5月8日、Interscope から。全20曲・約1時間の拡張版で、元のアルバムに6曲が足されています。追加分にはフレディ・ギブス、Tkay Maidza、Jordan Ward、それに TWICE のジヒョが参加した曲まで並んでいる。相当な幅です。

相手側の話

ラウス・アンド・ザ・ヤクザは、コンゴ系ベルギー人のアーティスト。フランス語で歌い、ラップする人です。デビュー作『Gore』で名前が広まりました。

つまりこの曲は、マイアミ/ロサンゼルスとブリュッセルの合作。ビジュアルも実際にブリュッセルで撮影されています。フロリダの湿度とベルギーの曇天が同じ4分に入っているわけで、どちらに引っ張られるかが聴きどころになる。

結果として、曲はベルギー側に傾きました。派手にならない。フックで持ち上げない。旧来のR&Bの手触りを残したまま、テンションを一定に保って終わります。

キックを踏み込まない

まずキックが軽い。ニュー・ディスコの名前がつく音なら、もっと踏める作りにできたはずのところで、足腰を抜いてある。踊る曲ではなく、移動する曲。

二人の声の混ざり方も意図的です。英語とフランス語が交互に来るのに、境目でテンションが変わらない。歌い分けというより、同じ部屋にいる二人の会話の速度で進んでいきます。

タイトルの「Fleur-de-lis」は百合の紋章。フランス王家の象徴であり、ニューオーリンズの記号でもあり、そしてベルギーの街に転がっている装飾でもある。どこの百合の話なのかを、曲は決めません。

こんな時、聴きたいかも(個人的にね)

夜の移動中がよかった。電車でもタクシーでも、窓の外が流れていく側の席で。歩きながらだと、このテンポは少し余ります。家なら、灯りをひとつ落としてから。

出典

出自
マイアミ(現在はロサンゼルス拠点)
レーベル
Interscope Records
収録
CRYSALIS (CODA)
発表
2026年5月8日
出典
https://youtu.be/yt_e3pW86-g

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