wonders
パソコン音楽クラブ
昨日出たばかりのシングルです。このユニットについては以前「tenk(e)i」のときに書いたので、今回は曲そのものと、その周りに付いている名前の話を。
二つの行き先に同時に出している
紹介文で繰り返されているのは、この曲が2つの場所に同時に向いている、という点です。
ダンスフロアに向けた身体性と、注意深く耳を傾けるリスナーを惹き込む音響的な奥行き。その両方を自然に共存させた1曲、という書かれ方をしている。クラブ・アンセムとしての推進力は持っているけれど、その枠組みには留まらない、とも。
具体的に挙がっているのは、サンプルのコラージュ、アンビエントの音響、変化していくテクスチャー。
そして参照として名前が出るのが Floating Points と Four Tet です。この2つの名前が出てくること自体が、行き先の説明になっている。 どちらも、フロアで機能するものと家で聴き通せるものを、別の作品に分けずに1つの中に置いてきた人たちです。
Floating Points については、この前「Cascade」のことを書きました。あれもフロアのために作られた曲で、それでも家で小さくかけて成立してしまう種類のものでした。同じ問題を、別の場所から解いている。
クレジットに他人の名前が並んでいる
このシングルには、外から入っている手が3つあります。
- マスタリング — Matt Colton
- カバーアートの写真 — 水谷太郎
- カバーアートのデザイン — 杉山峻輔
シングル1曲で、マスタリングと写真とデザインを別々に立ててクレジットしている。曲を出すというより、盤を1枚作るときの並びです。
Visualiser であって MV ではない
映像のほうは「Official Visualiser」と題されています。ミュージックビデオではない。
物語も演技も出てこない。曲が鳴っているあいだ、画面に何かが置いてある、というだけの形式です。音のほうを説明しない映像、と言い換えてもいい。
作りたい絵があるからMVを撮る、というのとは順番が逆で、まず音があって、それを流すための面を用意している。フロアとヘッドホンの両方に向いている曲の、置かれ方としては筋が通っています。
ライブのほうでは、10周年イヤーの1月に Zepp Shinjuku のワンマンをソールドアウトさせ、FUJI ROCK FESTIVAL '25 に出演、SUMMER SONIC '26 への出演も決まっています。フェスとクラブの両方に呼ばれる位置にいる。
こんな時、聴きたいかも(個人的にね)
同じ日に2回流したのがいちばん面白かった。出かける前に一度、帰ってきてから一度。
出かける前は推進力のほうだけが耳に入って、帰ってきてからは奥のテクスチャーのほうが出てくる。曲は同じで、こちらの状態だけが違う。2つの行き先に同時に出している曲は、こちらの側も2回いる、ということかもしれません。
昼に流したときは、どちらにも振れませんでした。中間の時間帯とは相性がよくなかった。うちの昼が中途半端なだけの可能性もあります。
出典
- パソコン音楽クラブ(YouTube) — wonders (Official Visualiser)
- Spincoaster — パソコン音楽クラブの現在を象徴する新曲"wonders"今夜リリース(2026年8月12日リリース・ダンスフロアの身体性と音響的な奥行きの共存という説明・Floating Points と Four Tet への言及・マスタリング Matt Colton・カバーアートは水谷太郎の写真をもとに杉山峻輔がデザイン・Zepp Shinjuku のワンマンと FUJI ROCK '25、SUMMER SONIC '26 への出演)
- OTOTOY — パソコン音楽クラブ、新SG「wonders」リリース(クラブ・アンセムとしての推進力とその枠組みに留まらないという説明・サンプル・コラージュとアンビエント音響、変化するテクスチャー)
- 収録
- wonders
- 発表
- 2026年8月12日
- 出典
- https://youtu.be/slAoLz6ajSU