Veilleuse 音楽の常夜灯

Prince DJ Set (Sign O' The Times)

Moodymann

2020年9月。集まることができなかった年に開かれた、アフターパーティーの記録です。

その夜に何があったか

2020年9月25日、プリンスの『Sign O' The Times』のスーパーデラックス版が出ました。NPG Records と Warner Records から、CD8枚とLP13枚。未発表音源が63曲、全体では92曲。1979年から1987年のあいだに録られたまま出ていなかったスタジオ録音が45曲入っています。

さらに、1987年12月31日にペイズリーパークで行われた大晦日のベネフィット公演の映像も収録されました。マイルス・デイヴィスが出てくる回です。

その大晦日公演が、発売と同じ日にプリンスの公式チャンネルでプレミア公開されました。イギリス時間の午前1時から、2時間。

そして上映が終わったあと、そのままアフターパーティーが始まります。 DJ Rashida、Natasha Diggs、D-Nice、Moodymann、DJ Spinna ほか。この記録は、そのうちの Moodymann の回です。

デトロイトの人がプリンスをかける

Moodymann はデトロイトのプロデューサー/DJ。本名はケニー・ディクソン・ジュニア。自分のレーベル KDJ Records を持っている人です。

プリンスとの縁は前からありました。2018年12月1日、Red Bull の企画で「Moodymann Plays Paisley Park」をやっている。ミネソタ州シャンハッセンにあるプリンスの自宅兼スタジオで、プリンスの曲だけをオールナイトでかけるという一夜でした。未発表音源、B面、D面、その他もろもろまで含めて。

2020年のこれは、その2年後にあたります。ただし場所がない。ペイズリーパークにも、クラブにも、誰も行けない年でした。

部屋に散らばったアフターパーティー

アフターパーティーというのは、本来「同じ場所に残った人たちの時間」のことだと思います。本編が終わって、帰らなかった人だけが残って、照明が落ちて、そこから始まるもの。

2020年9月のそれは、残る場所がありませんでした。2時間の上映を見終えた人が、それぞれの部屋にいたまま、次のDJに切り替わる。 同じ音を聞いている人がたくさんいることは分かっているけれど、誰も見えない。

いま同じものを再生すると、その構造がそのまま出てきます。こちらも部屋にいて、ほかに誰かいるかどうかは分からない。当時と条件が変わっていない。

そういう聴かれ方をした音楽が、6年経つと「そういう聴かれ方をするために作られたわけではない記録」として残る。日付を知らずに再生すると、ただのプリンス縛りのセットに聞こえるはずです。

こんな時、聴きたいかも(個人的にね)

人が来ている日の、夜の後半に流したのがいちばんうまくいきました。会話が途切れても平気になってきたあたりで。プリンスの曲は誰かが必ず反応するので、話が止まっても場が死なない。

ひとりで聴くと、上のような話を考え込んでしまって、音のほうが後ろに行きました。この記録に関しては、人がいるほうが向いていた気がします。ふだんと逆でした。

出典

出自
デトロイト
発表
2020年9月25日
出典
https://youtu.be/DCqjHAXMQmU

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