L.L.M.S.D.
AJICO
正式な題は「L.L.M.S.D. -Lonely Lonely Magic Smiley Dress-」。頭文字だけ並べて、そのうしろに全部書いてある。作詞作曲は浅井健一です。
20年空いてからの4曲
AJICO は UA、浅井健一、TOKIE、椎野恭一の4人。1999年の夏に組まれて、2001年に『深緑』と『ペピン』を出したあと止まりました。
再び動いたのが2021年。20年ぶりです。 そこで出たEPが『接続』で、5月26日リリース、全4曲。「L.L.M.S.D.」はその4曲目にあたります。単曲としては2週間早く、5月12日に配信されていました。
止まっていた期間のほうが、活動していた期間より長い。その状態で出てきた4曲に『接続』という題が付いている。
「機材のことは全然わからない」
この記事で書きたいのはここです。
サウンドプロデュースを担当したのは鈴木正人。LITTLE CREATURES のベーシストで、この人がEP全体の音を組んでいます。サウンド&レコーディング・マガジンのインタビューで、作り方がかなり具体的に語られていました。
方針は「メンバー個々の音を変えるのではなく、エレクトロニックな要素を足す」。使ったのは KV331 Synthmaster と ARTURIA Analog Lab。ただしシンセは1曲あたり4トラック程度に絞り、「パッと聴かせやすいところにだけ入れる」。
「L.L.M.S.D.」は、ローエンドが充実している曲の例として名前が挙がっています。ドラムにゲート処理をかけ、コンプで整えて、アレンジの段階から低いほうを作りにいっている。
一方で、浅井健一の側の発言はこうです。
機材のことは全然わからない
家で古いバージョンの Pro Tools か Logic Pro X を使ってデモを録り、オーディオファイルを送る。あとの判断は鈴木正人がする。分担がはっきりしています。
ちなみに以前、浅井健一のソロ「Fantasy」について書いたとき、本人が「AJICO での活動を通じて得たサウンド・エンジニアリングの知識」を使っていると語っている、という話に触れました。その AJICO が、ここです。 機材が分からないと言っていた人が、この現場を通って、3年後に自分でソロを組み立てている。
「踊れるロック」はUAから出た
EP のコンセプトは UA が言い出したものだと紹介されています。参照されたのはベックと、ディスコ化したクイーン。
ロックバンドに踊れと言うとき、たいていはリズムの話になりますが、鈴木正人がやっているのは低いほうの整理でした。ドラムをゲートで切って、コンプで押さえて、シンセを4トラックだけ足す。「踊れる」を体の高さではなく、床の高さで解こうとしている。
インタビューを読むかぎり、アレンジは「浅井さんのギター・フレーズで出来上がっている」ことを前提に組まれています。ギターは動かさない。そのまわりの床を作り直す。
こんな時、聴きたいかも(個人的にね)
座らずに立ったまま聴くほうが合いました。低いほうが整っているので、座っていると行き場がなくなる。金曜の夜、まだどこにも行っていない時間に。
朝はだめでした。ローエンドが効いている曲を朝の耳で聴くと、体のほうが起きていなくて、ただ重いだけになる。
出典
- サウンド&レコーディング・マガジン — AJICO『接続』インタビュー(鈴木正人のサウンドプロデュース方針・KV331 Synthmaster と ARTURIA Analog Lab・シンセを1曲4トラック程度に絞ること・「L.L.M.S.D.」のローエンドとドラムのゲート処理・浅井健一の「機材のことは全然わからない」という発言とデモの作り方)
- TOWER RECORDS ONLINE — AJICO『接続』(EP のリリース日と収録曲・単曲配信・UA 発の「踊れるロック」というコンセプト)
- Wikipedia — Ajico(メンバー構成・1999年結成・2001年の作品と活動休止・2021年の再始動)
- レーベル
- スピードスターレコーズ
- 収録
- 接続
- 発表
- 2021年5月26日
- 出典
- https://youtu.be/WcMLmTaTB7A