Veilleuse 音楽の常夜灯

The Universe Smiles Upon You ii

Khruangbin

曲名の末尾に、全部「ii」が付いています。10曲すべてに。10年前の同じアルバムを、同じ順番で、もう一度録り直した記録です。

10年後に、同じ曲を録る

Khruangbin のデビュー作『The Universe Smiles Upon You』は2015年11月6日リリース。ヒューストンの3人組が、人口300人の町バートン(テキサス州)の納屋で録った一枚です。

『ii』は、その10周年にあたる2025年11月6日に出ました。日付まで揃えてある。 収録曲も原盤と同じ10曲を同じ並びで、それぞれの題に ii を付けただけ。

  • Little Joe and Mary ii5分15秒
  • Balls and Pins ii4分36秒
  • White Gloves ii4分51秒
  • The Man Who Took My Sunglasses ii1分49秒
  • People Everywhere ii7分57秒
  • Bin Bin ii1分45秒
  • August Twelve ii6分29秒
  • Dern Kala ii3分44秒
  • Two Fish and an Elephant ii7分21秒
  • Zionsville ii5分41秒

リマスターではない、というところ

10周年で旧作を出し直すやり方は、いくつもあります。リマスター、未発表テイクの追加、デラックス盤。どれも元の録音を素材として扱う方法です。

この一枚はそれをしていません。もう一度演奏している。 過去の録音に触るのではなく、10年ぶんの変化を通した自分たちで同じ曲を弾き直す。同じ楽譜を、別の人間が演奏している状態に近い。

だから比較が意味を持ちます。何が変わったかを聴き分けるための対照実験として、こんなに条件を揃えた例はそう多くありません。曲も順番も日付も同じで、変数は「10年」だけになっている。

面白いのは、この方法が Khruangbin にいちばん向いていることです。この3人の音は、譜面の情報量よりも間の取り方と手の癖で成り立っています。ラウラ・リーのベース、マーク・スピアーのギター、ドナルド・"DJ"・ジョンソンのドラム。それぞれの「いつもの置き方」が変化したかどうかは、同じ曲を弾かせないと測れない。

録り方も自分たちの手で

クレジットが簡潔です。

  • Recorded by Khruangbin
  • Produced by Khruangbin & Steve Christensen
  • Mixed by Steve Christensen(Terminal C, Houston)
  • Mastered by Chris Longwood(Chris Longwood Mastering, Houston)

ミックスもマスタリングもヒューストンで完結しています。デビュー作を納屋で録った3人が、10年後もヒューストンの中で全部を済ませている。タグに並ぶのは funk、blues、exotic、instrumental、psych、surf、そして Houston。

原盤の音楽性は、サーフ・ロック、タランティーノ映画のサウンドトラック、そしてタイのポップスとロックとファンクからの影響として説明されてきました。その配合を10年後にもう一度やってみる、という企画です。

こんな時、聴きたいかも(個人的にね)

原盤と交互に聴くのは、途中でやめました。答え合わせを始めると、音楽としては聴けなくなる。

どちらか片方を、窓を開けて通す。それだけでよかったです。

出典

出自
テキサス州ヒューストン
レーベル
Dead Oceans
収録
The Universe Smiles Upon You ii
発表
2025年11月6日
出典
https://khruangbin.bandcamp.com/album/the-universe-smiles-upon-you-ii

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