Veilleuse 音楽の常夜灯

花びらが散る頃に feat. SUKISHA

EVISBEATS

映像はありません。YouTube に上がっているのは、配信の音源をそのまま流す自動生成のページです。4分16秒。アルバム『PEOPLE』の12曲目にあたります。

作っている側の話が、この曲より先に面白いことになっているので、そちらから書きます。

1週間で500曲が届いた

『PEOPLE』は2019年12月18日に AMIDA STUDIO から出た14曲入りで、10人が歌ったり喋ったりしています。J.B.POE、Jambo Lacquer、annie the clumsy、WHALE TALX、高橋飛夢、Blumio、ASA、Qugo、Shimpei、そして SUKISHA。

この人選び方が普通ではありませんでした。きっかけは奥さんの一言だと本人が話しています。

奥さんと話してたら、〈SNSで募集してみたらええんちゃう?〉ってアイデアをくれたのが発端で、(Twitterで)すぐ呟きました

1週間で500近い音源が届いて、そこから30人ほどに絞って、最終的に14曲になっています。

順番も逆でした。

とりあえず、何となしにトラックを作っていって、そこに誰がハマるか考えていった

先にトラックがあって、あとから声を探している。だから募集が成り立ちます。

やりとりはメールだけで、トラックを送って録音ファイルを返してもらう形。一度も顔を突き合わせていません。 2019年の話です。

村にいる

EVISBEATS は奈良の人で、本名は吉村章。韻踏合組合の奈良支部 NOTABLE MC'S に AKIRA の名前でいて、2005年からソロ。歌う側が AMIDA、トラックを作る側が EVISBEATS という名前の分け方をしています。アルバムは『AMIDA』(2008年)、『ひとつになるとき』(2012年)、『ムスヒ』(2018年)、そして『PEOPLE』。

そのあいだの暮らしについて、本人はこう話しています。

民家をDIYで改装しながら、草刈りしたり薪を運んだり、子どもの送り迎えとか村の集まりに参加したりして、おじいちゃんみたいな生活です。

このアルバムを作る気になったきっかけも話に出てきます。

夏くらいにフランスに行った時にピカソ美術館に行って作品を見てたら、〈もう何でもありなんだな〉と刺激を受けて

草刈りとピカソ美術館とTwitterの募集が、同じ一枚の中に入っている。

ジャケットに描かれている顔も、目や鼻が平らに並べ直された絵です。誰が描いたものかは分かりませんでしたが、上の話を読んだあとだと、そう見えます。

歌詞について本人が言っているのは一言だけです。ラップや歌詞の表現に、人が現代を生きるうえでの知恵やヒントがあればいい、と。

歌っているのは SUKISHA

SUKISHA は2017年8月に突然ネットに出てきたシンガーでトラックメイカー。始めた理由を本人がかなり率直に説明しています。

本名でブラックミュージック要素を取り入れた暗くてフォーキーな曲をやってたんですが全くウケず、同時期にsuchmosとか売れ始めて『そんなん俺も出来るわ』という気持ちでディスコ系の曲を作り始めたのがきっかけです

デビュー作は「4分半のマジック」。1枚目のアルバム『Segment of Cakes』はクラウドファンディングで最速の記録を作ったと紹介されています。kiki vivi lily との共作アルバム『Over the Rainbow』が2019年、ぜったくんとの仕事もこの前後。origami PRODUCTIONS の周辺にいる人です。

つまりこの曲は、トラックを作る人と、自分でもトラックを作る人が、メールだけで組んだものになります。誰がどこまで書いたかのクレジットは、確かめられる形で見つけられませんでした。

聴いた時のこと

季節が合っていません。曲名は花が散る頃で、盤が出たのは12月18日。こちらが聴いているのは8月です。三つとも別の時期になっている。

それで、季節を合わせようとするのをやめて聴きました。窓を開けて、外の音が入るくらいの音量で。夏の夕方の音のほうがずっと大きいので、曲は勝とうとせずに下のほうにいます。

散ったあとの話をしている曲を、何も散っていない時期に聴くと、思い出す対象がないまま声だけが残ります。それが具合が悪いのかというと、そうでもなかった。来年の春にもう一度かけたら、たぶん別のことを思うのだと思います。

出典

  • MikikiEVISBEATS『PEOPLE』孤高の才人が多くの人々との関わりを織り重ねた新作を語る(2020年1月8日公開、インタヴュー・文=一ノ木裕之。奥さんの「SNSで募集してみたらええんちゃう?」という発言・1週間で500近い音源が届き30人ほどに絞ったこと・「とりあえず、何となしにトラックを作っていって、そこに誰がハマるか考えていった」・メールでトラックを送り録音ファイルを返してもらう形で顔を合わせていないこと・「民家をDIYで改装しながら…おじいちゃんみたいな生活です」・ピカソ美術館での「もう何でもありなんだな」・歌詞に知恵やヒントがあればいいという発言)
  • QeticEVISBEATSの最新アルバム「PEOPLE」が本日発売(2019年12月18日リリース・AMIDA STUDIO・全14曲と収録順・「花びらが散る頃に feat. SUKISHA」が12曲目・参加した10人の名前・サブスク全面解禁)
  • WikipediaEVISBEATS(本名 吉村章・奈良・韻踏合組合の奈良支部 NOTABLE MC'S に AKIRA としていたこと・2005年からのソロ活動・AMIDA と EVISBEATS の名義の使い分け・『AMIDA』『ひとつになるとき』『ムスヒ』『PEOPLE』)
  • THE MAGAZINE(TuneCore Japan)— SUKISHA インタビュー(2017年8月に現れたシンガー/トラックメイカーであること・「本名でブラックミュージック要素を取り入れた…」という始めた理由・「4分半のマジック」・『Segment of Cakes』とクラウドファンディングの記録・kiki vivi lily との共作)
  • SUKISHA official site(kiki vivi lily との共作アルバム『Over the Rainbow』が2019年・ぜったくんとの仕事・origami PRODUCTIONS 周辺での活動)
  • レコチョク花びらが散る頃に feat. SUKISHA(曲の長さが4分16秒であること・『PEOPLE』が14曲収録であること)
出自
奈良
レーベル
AMIDA STUDIO
収録
PEOPLE
発表
2019年12月18日
出典
https://youtu.be/YuIqJ-pyGU4

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