The Way I Feel
Evenson
森の小屋にひとりで籠って書いた、とあります。作り方の話がここまで具体的に出てくるアーティストは、そう多くありません。
誰なのか
Evenson はコネチカット州生まれのハイチ系アメリカ人。VERO Music からの作品を出しているオルタナティヴ系の人です。
自分のルーツについて、ハイチの血を「回復力と勇気と尊厳の導きの光」だと説明しています。移民一世の家系であることが創作の原動力になっている、という言い方をされる。
子どもの頃に聴いていたのはキッド・カディとロード。それにフランク・オーシャン、プリンス、ボウイ。母親がいつも家で音楽を鳴らしていたと話しています。この並びは、いまの音を聴くとかなり素直に納得できる範囲です。
「The Way I Feel」は2026年5月19日リリース。
小屋で書くということ
ファースト・アルバム『EVE』は2026年7月21日、VERO Music から。全10曲で、大部分が森の小屋にひとりで籠っている間に書かれたとされています。
扱っているのは、アイデンティティ、愛、家族、男性性、そして自己認識。ハイチの出自が深く関わった作品で、簡単な決着ではなく、しんどい真実のほうを選んでいる——そういう説明のされ方をする一枚です。
小屋に籠って書く、という工程は結果に出ます。人に聞かせる前提で書いた曲は、どこかで相手を想定した形になる。誰もいない場所で書いた曲は、その形を持たないまま出てくる。この曲の落ち着かなさは、そこから来ているように聞こえます。
主張しないことで重くする
評され方が面白くて、「過剰にプロデュースされたポップとは違い、過度な主張のない音楽で、感情的な重みを持つ」と言われています。
主張しないほうが重くなる、というのは矛盾のようですが、実際にそういう作りは成立します。音を詰めて押し切ると、聴くほうは押された事実だけを受け取って終わる。隙間を残しておくと、聴くほうが自分の話を置いてしまう。置いた分だけ重くなる。
大気感のあるオルタナ・ポップの質感、ソウル寄りの旋律、細かく組んだコーラス、そして告白に近い歌詞。素材のリストとしては珍しくありません。珍しいのは、それを積み上げる方向に使っていないところです。
こんな時、聴きたいかも(個人的にね)
深夜、作業の手を止めたあとに流したのがよかった。眠るには早い時間帯で、まだ何かする気は残っているけれど、もう始めない、というあたり。
人と一緒にいるときには向かない気がしました。この曲は隙間が多いので、そこに会話が入ると成立しなくなる。ひとりで聴く曲だと思います——というのも、あくまで自分の聴き方の話です。
出典
- VERO Music — EVENSON(ハイチ系という出自と創作への関わり・作品リスト・『EVE』の発売予定・音楽性の評され方)
- Viper Mag — EVENSON UNLEASHES DEEPLY PERSONAL DEBUT ALBUM 'EVE'(コネチカット州生まれ・全10曲・森の小屋で書かれたこと・扱っている主題・ハイチの出自についての本人の言葉・影響元のアーティスト)
- Shazam — The Way I Feel / Evenson(リリース日・レーベル表記)
- 出自
- コネチカット州生まれ/ハイチ系アメリカ人
- レーベル
- VERO Music
- 収録
- EVE
- 発表
- 2026年5月19日
- 出典
- https://youtu.be/ABuWBYT8Dvk