Heaven
Arlo Parks
監督Rob Thorogood
曲の出どころが、はっきり一箇所に絞られています。ロサンゼルスのお気に入りのレイヴ、その橋の下で、友人の DJ ケリー・リー・オーウェンスが朝方に回したセット。それを聴いて書かれた曲だ、と。
場所から出てきた曲
アーロ・パークスは、これまで言葉の人として受け取られてきた側の書き手です。その人が、ベースラインで押し切る曲を出している。電子音とダンスの方向へ、はっきり舵を切った一曲として紹介されています。プロデュースは Baird、曲は4分ほど。
こういう転換は、普通は理屈で説明されます。新しい表現を求めて、影響を受けて、実験として。この曲の場合はそうではなく、具体的な夜が一つあるだけです。橋の下、朝方、友人のセット。
その具体性が効いていると思います。ジャンルを移るときの動機が「あの朝がよかったから」であるほうが、聴くほうは信用できる。ダンスミュージックはもともと、理屈ではなく場所と時間から生まれてきた音楽です。
「Heaven」という題も、そこから素直に出てきているのでしょう。夜明けのフロアにいた人が使う言葉としては、大げさではありません。
映像が同じ話をしている
MV の監督はロブ・ソログッド。作りは対比になっています。
都市のスカイラインを背にして歌うパークスの、単純なショット。 それに対して、都市の内側で撮られた、速く動く映像。止まっている人と、動いている街。
この対比は曲の構造をそのまま画にしたものだと思います。ベースラインが休まず走り続けるのに対して、歌のほうは走らない。フロアの音を作りながら、歌う人は煽らない位置に立っている。映像がそれを、街と人の速度差として見せている。
橋の下から始まった曲を、橋のある街のスカイラインで撮る。取材した現場と、映した場所の関係もきれいに閉じています。
3枚目に向かう途中の1曲
この曲は3枚目のアルバム『Ambiguous Desire』からの2枚目のシングルです。アルバムは2026年4月3日、Transgressive から。
題は「曖昧な欲望」。言葉を積んできた人が、身体のほうの音楽に寄る。その一枚に「曖昧」という題を置いている。言葉で輪郭をはっきりさせる仕事をしてきた人が、輪郭を曖昧にする側の題を選んだことになります。
シングルの段階で音がダンスの側に振れているのは、本人側からそう説明されています。アルバムがどこまでそちらへ行くのかは、4月3日を待つ話でした。
こんな時、聴きたいかも(個人的にね)
明け方に帰る道で流したのがよかった。始発を待つくらいの時間に。この曲の出どころがその時間帯なので、合わせて聴くと素直に効きます。
昼に聴くと、ベースラインが少し余りました。曲が悪いのではなく、こちらの時間が合っていないだけだと思います。
出典
- DIY Magazine — Arlo Parks embraces city nightscape in video for new 'Ambiguous Desire' single 'Heaven'(MV監督のロブ・ソログッド・スカイラインを背にした単純なショットと都市内部の速い映像の対比)
- mxdwn Music — Arlo Parks Shares Moving New Single & Video "Heaven"(3枚目のアルバム『Ambiguous Desire』からの2枚目のシングルであること・ロサンゼルスのレイヴの橋の下でのケリー・リー・オーウェンスの朝方のセットが着想元であること・Baird によるプロデュース・電子音とダンス寄りへの転換)
- Under the Radar — Arlo Parks Shares Video for New Song "Heaven"(アルバムが2026年4月3日に Transgressive から出ること)
- Stereogum — Arlo Parks Shares New Song "Heaven"(シングルの発表)
- 出自
- ロンドン
- レーベル
- Transgressive
- 収録
- Ambiguous Desire
- 発表
- 2026年4月3日(アルバム)
- 出典
- https://youtu.be/0zpKlmSevJs