You Don't Know My Name / Will You Ever Know It (Reggae Mix)
Alicia Keys
同じ曲なのに、別の場所に立っている。アリシア・キーズ「You Don't Know My Name」のレゲエ・ミックス。原曲を知っている人には、こちらのほうが発見が多いと思います。
まず原曲の話から
2003年11月10日、セカンド・アルバム『The Diary of Alicia Keys』の先行シングルとして発表。プロデュースはアリシア・キーズとカニエ・ウェスト。当時のカニエは、まだ「プロデューサー」として名前が売れ始めた時期です。
土台になっているのは、The Main Ingredient が1975年に歌った「Let Me Prove My Love to You」。そしてこのサンプル自体が、さらに元をたどるとショパンの練習曲——「木枯らし」の名で知られる作品25の11——を引き写したものだという指摘があります。確定した話として扱うつもりはありませんが、この線でたどると、19世紀のピアノ練習曲が70年代のソウルを経由して2003年のR&Bのフックに届いたことになる。跳んでいる距離が長い。
成績も残しました。Billboard Hot 100 で最高3位。R&B/ヒップホップ・チャートでは8週連続の首位。グラミー賞では最優秀R&Bソングを受賞しています。
そして何より、多くの人の記憶に残っているのは中盤の語りでしょう。歌が止まって、電話をかけ、名前も知らない相手に話しかける。あの数十秒のために、この曲は20年以上再生され続けてきました。
それで、このレゲエ・ミックス
タイトルに「Will You Ever Know It」が並記されているのが目印です。曲名まで変わっている。つまりリミックスというより、もう一曲として扱われている。
WhoSampled では、このミックスがバーニング・スピアの「Columbus」を土台にしていると記録されています。ルーツ・レゲエの重心を借りて、原曲の甘さを一段沈めた仕上がり。
面白いのは、ここでは語りが別の意味を持ってくることです。原曲だとあの独白は、ソウルの流れの中で「かわいらしい寄り道」として機能していました。ベースが後ろに引いて、ドラムが空間を空けるレゲエの上に置き直すと、同じ台詞がもっと生々しく聞こえる。名前も知らない相手に電話をかけている人の、ばつの悪さのほうが立ってきます。
このミックスは 2004年のコンピレーション『Reggae Gold 2004』にも収められました。当時のダンスホール・レゲエの並びの中に、メジャーR&Bの大ヒットがこの姿で入っていた、という記録です。
こんな時、聴きたいかも(個人的にね)
夕方に置くと収まりがよかった、という話。昼の明るさだと甘く、深夜だと少し陽気に響く気がする。西日が入ってきて、まだ電気をつけていない一時間くらい。
音量は控えめでも足りました。このベースは、大きくしないほうが体に入ってくる。あくまで自分の部屋での感想です。
出典
- レーベル
- J Records
- 収録
- You Don't Know My Name - EP / Reggae Gold 2004
- 発表
- 2003年11月10日
- 出典
- https://youtu.be/_kWVDBH0pyk