Better Than Before
Pamela.
失恋の曲だと本人たちは言います。ただし、崩れる場面の曲ではない。
別れの曲だけど、崩壊のほうじゃない。そのあとの、息を吐くところ。全部が軽くなり始めるあたり。
この一文がそのまま曲の設計になっています。
キッチンテーブルから始まった
Pamela. はシドニーの2人組。ジョシュ・ケンペンとサラ・エレン。5年ほど同居人として一緒に暮らしながら曲を作っていて、2〜3年の作曲期間を経て、バンドとして動き出したのは1年ほど前。イギリスの The Great Escape にも出ています。
この曲の出どころが具体的で面白い。ケンペンは別れを経験していた時期に書いた曲だと説明していて、「はじめて自分に戻れたと感じた瞬間」だと言っています。エレンのほうは、彼がキッチンテーブルで歌っているのを聞きながら、それに応えるコーラスを作ったと振り返っている。
つまりこの曲のコーラスは、返事として書かれています。片方の失恋を、同じ家にいたもう片方が受け取って返した。だから2人の声が重なるところが、単なるハーモニーに聞こえない。
2分42秒で終わる
曲の長さは2分42秒。夏向きのインディー・ポップで、The Strokes や Dope Lemon、Primal Scream を思い出させる音だと紹介されています。
短さは判断です。失恋を主題にすると、普通は長くなる。整理しきれない話を並べる必要があるからです。それを2分42秒で切り上げるというのは、整理し終わったあとの時間だけを扱うと決めたということ。「崩壊のほうじゃない」という本人の言葉と、この尺はちゃんと対応しています。
シングルは2026年7月10日、EMI Australia から。EP『It's Nice To See You Here』の一曲として出ています。EP の題も、この曲と同じ体温です。
軽さを目標に置いた曲
明るい曲を明るく作るのは易しい。暗い話を明るい音でやるのが難しくて、この曲はそちらに挑んでいます。
この曲について確かなのは、本人たちが「全部が軽くなり始めるあたり」という、かなり細かい時点を狙って書いたと明言していることです。失恋のどこを扱うかではなく、失恋のあとの何時間目を扱うかまで決めてある。狙いが細かいぶん、当たったときの効き方も具体的になります。
こんな時、聴きたいかも(個人的にね)
2分42秒が、何かを始める前の助走としてちょうど終わってくれる。まだ予定が決まっていない、天気のいい朝に。夜だと少し元気すぎました。
出典
- The Line of Best Fit — Pamela.'s "Better Than Before" is a joyous hook-led excursion of a breakup(メンバー名・シドニー・同居からバンド結成までの経緯・The Great Escape 出演・2人それぞれのコメント・EP のタイトルとレーベルと発売日・音の参照先)
- Apple Music — Better Than Before(リリース日・曲の長さ・レーベル表記・EP への収録)
- Clash — Pamela's 'Better Than Before' Is Sweetly Uplifting(曲の位置づけ・本人による「崩壊ではなく、そのあとの息継ぎ」という説明)
- 出自
- シドニー(オーストラリア)
- レーベル
- EMI Australia
- 収録
- It's Nice To See You Here - EP
- 発表
- 2026年7月10日
- 出典
- https://youtu.be/aiasAuYXhWs