Veilleuse 音楽の常夜灯

Bliss

Amber Mark

監督Amber Mark、Satya Zoa Hyllested制作Virgin Soil Pictures撮影Peter Pascucci

シングルにはなっていません。それでもアルバムが出た日、2022年1月28日に、この映像が上がっています。

先行シングルは5本ありました。「Worth It」が2021年4月23日、「Competition」が6月9日、「Foreign Things」が8月23日、「What It Is」が9月24日、「Softly」が11月12日。半年以上かけて表に出していって、そのどれでもない曲に、発売日の映像がついた。

WITHOUT / WITHHELD / WITHIN

『Three Dimensions Deep』は Amber Mark の1枚目のアルバムで、17曲・60分06秒。PMR、EMI、Interscope から出ています。

このアルバムには本人が付けた区切りがあります。

最初は3つに分けました。曲を書いた時期がばらばらだったので、自分がどこへ向かっていて、何がどこに入るのかを、自分で分かるためです。

WITHOUT が1曲目「One」から。WITHHELD が6曲目「Softly」から。WITHIN が11曲目「Out Of This World」から。WITHOUT は外、WITHIN は内。あいだの WITHHELD は、出さずに抱えているという意味の語です。この区切りが、あとから物語として通る形になった、とも話しています。

「Bliss」は16曲目。WITHIN の終わりのほうに入っていて、次の17曲目「Event Horizon」でアルバムが終わります。事象の地平面、ブラックホールの境目の名前です。

同じ8人が、隣の曲も書いている

「Bliss」は2分54秒。書いているのは Amber Mark、Julian Bunetta、Kendrick Nicholls、Sherwyn Nicholls、Andrew Haas、Ian Franzino、Liza Owen、Steph Jones。プロデュースは Two Fresh、Afterhrs、Julian Bunetta。

Two Fresh は Nicholls の双子、Afterhrs は Andrew Haas と Ian Franzino です。作曲のところには個人の名前が、プロデュースのところには組の名前が書かれるので、同じ人が二度出てきます。

そして15曲目「Competition」のクレジットが、この8人と3組でまったく同じです。隣に入っている2曲に、同じ名前が同じ順で書かれている。片方は2021年6月にシングルになり、もう片方はならないまま映像がついた。

Two Fresh がこのアルバムで関わったのは「Foreign Things」「Competition」「Bliss」の3曲です。Amber Mark との仕事は通算10曲あって、2025年10月10日に出た2枚目『Pretty Idea』にも4曲入っています。

知らなかった段階

Apple Music の解説で、本人がこの曲についてこう話しています。

音としては、体の外に出ていたところから降りてくる曲。想像したこともないくらい幸福な状態のことを歌っています。書いていたころ、本当に恋をしていて。あんなものは経験したことがなかった。それを話したかった。というか、そんな段階があることを知らなかった。

歌詞に「A crush don't have to leave a bruise」という一行があります。crush は押しつぶすことで、片思いの意味にもなる。bruise はぶつけてできるあざ。どちらもぶつかる側の語を並べて、あざのほうは残らなくていいと言っています。

サビは「Didn't know what love is / Till I found my Bliss」。曲名がそのまま歌詞に入っています。

母親はドイツの画家だった

Amber Mark は1993年12月29日、テネシー州サマータウン生まれ。父はジャマイカ出身のミュージシャン。母の Mia Mark はカイザースラウテルン出身の画家で、本人はこう話しています。

自由な人で、ヒッピーっぽくて。ドイツのキリスト教の家に生まれ育って、20代の半ばから仏教のほうへ入っていった。

母に連れられて住んだのが、マイアミ、ニューヨーク、ミュンヘン、それとダージリンの僧院です。母はそこでチベット仏教のタンカ(仏画)を学んでいます。のちにベルリンのパンコウに落ち着いて、またニューヨークへ戻り、本人はマイアミの高校へ通いました。

母は乳がんで、本人が10代の終わりのころに亡くなっています。2017年の1枚目のEP『3:33am』は、そのあとに書かれたものです。

アルバムに宇宙の話が多い理由についても、本人の説明があります。

実は科学のほうが、自分をスピリチュアルな気持ちにさせました。変な話ですけど。この惑星と、母とのつながりを強く感じられるようになった。

水に浮いた台と、アジサイ

映像は Amber Mark と Satya Zoa Hyllested の共同監督です。編集も Satya Zoa Hyllested。制作は Virgin Soil Pictures、撮影は Peter Pascucci。

セットは水に浮いた台で、周りにアジサイが植わっています。本人の説明はこう。

テーマは無垢さだと思う。でもエネルギーもある。自分の中の子どもの部分に、少し触りたい。

メイキングには、台の水が配線にかかって「誰も感電しないでね」と本人が言う場面が残っています。

止めた状態のプレーヤーに出ているのは、薄い青の服と、リボンを編み込んだ三つ編み、目のまわりに置いた石、それと紫がかった霧です。1枚だけでも、境目をはっきり作らない撮り方だとわかります。

聴いた時のこと

先に映像を通しで見ました。4分3秒あります。アルバムの「Bliss」は2分54秒なので、映像のほうが1分ちょっと長い。何が余っているのかは、書くより見てもらったほうが早いので書きません。

そのあと曲だけを聴いたら、同じものに思えませんでした。映像のあいだは薄い青と霧のほうを見ているので、そちらに引っぱられていたのだと思います。音だけにすると、声のうしろで鳴っているものが思っていたより近くにありました。

もうひとつ、アルバムの順で聴く形があります。15曲目から続けて入ると、たしかに本人の言うとおり降りてくるところに聞こえました。

映像で見るか、音だけで聴くか、順番のなかで聴くか。どれがいちばんだったかは決まっていません。曲のほうが決めてくれない気がしています。

出典

出自
テネシー州サマータウン
レーベル
PMR / EMI / Interscope
収録
Three Dimensions Deep
発表
2022年1月28日
出典
https://youtu.be/YL97fi1Mhik

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